モード界の巨人、トム・フォードが2009年に手掛けた映画です。
彼の美学をふんだんに盛り込んだ、スタイリッシュでお洒落な映像。
美しいインテリア、服装、小物。
これらの上質な品々は、ブランドショップからそのまま抜き取ってきたようで、一部の隙もありません。
特に主人公を演じたコリン・ファースがかけていた、トムフォードのメガネは映画に素晴らしくマッチしていて印象に残りました。
主人公の家は、お洒落だけど生活感が薄く、片付きすぎていてどこか寒々しい印象です。
恋人を亡くして悲嘆にくれる大学教授を、コリン・ファースが演じます。
黒ぶち眼鏡にスーツ姿。悲しげな姿にほんのり色香が漂います。
愛する人を失った喪失感。切なくて痛々しい孤独。もう、どうしようもなく、絶望感が漂っています。
その中でのささやかな他者との交流。暗い中に、そこだけぽっと明かりが灯るようなのが救いです。
そんな彼が、ある決断を実行するまでの1日を描いた作品です。
主人公を心配する生徒役に、ニコラス・ホルト。「About a Boy」の子役です。
こんなに成長していたとは!
ラストのシーンが心に残ります。
「シングルマン」、残された者の痛みを思いました。